まちづくり

Vol5 「サンロク...

Vol5 「サンロクIT女子」の自律自走をサポート、さらなる躍動へ!

「人」の可能性を広げ、自律自走への支援へサンロクIT女子プロジェクトは発足以来、酒田市内や東京の企業からライティングやアンケート集計等の仕事を受託し、学びながら取り組んできました。2023年度からは、アデコ(株)との協業により仕事の幅が広がり、様々な案件に挑戦してきたサンロクIT女子。人材育成に多くの実績を持つ企業ならではの「やりがい」や「経験」に繋がる業務委託とはという観点で、アデコ(株)でサンロクIT女子プロジェクト担当をされている八木仁美さんにお話を伺いました。❶「人」の可能性を育む公共事業に携わり、5年目となる八木さん。これまで中小企業のデジタル化や女性活躍支援事業、大学との連携による教育プログラムのコンテンツ作成など、多岐にわたる業務を担われてきました。終身雇用が一般的でなくなった現代において、「人の持っている可能性を育てる手助けができれば」と思ったといいます。人材育成に携わる中で、多種多様な業界とそれに関わるいろんなタイプの方々と接し、一人ひとりの見ている方向の多様さ・面白さに気付いたそうです。働き方ややりたい事など、もっと良い方向に向かうように自分が介在し、手助けできればそれ自体が自身の仕事のやりがいに繋がっていると感じた八木さん。「働き方の幅が広がった一方で、自分自身で何をしたいのか、結果どうなっていきたいのかを考えていくことが必要だと思います」自分の理想や目標を達成するために、どんな力をつけて、どのように行動するかを考えることが求められる時代になりました。これは企業にとっても同様で、「時代に応じた戦略をとって生き残っていくことが大事」と考えたそうです。企業を形成するのは「人」であることから、個々の可能性を伸ばすことが求められています。八木さんは、このような時代の流れから、「自分の携わる仕事を通じ、人の可能性を育むことに大きな意義を感じている」と教えてくれました。「人の力で何かを変えることが出来るって思っています」人の持つ可能性の大きさを見てきた八木さん❷「女性が輝くまち酒田」実現への努力酒田市のサンロクIT女子プロジェクトの担当になり、酒田市の印象について「先進的な取り組みと制度が充実している町」と語ってくれました。特に『日本一女性が働きやすいまち』を目指す宣言は印象的に感じたそうです。女性が働きやすいまち実現への大きな一歩とも言えるサンロクIT女子プロジェクトですが、その道のりは容易ではありませんでした。八木さんが思う女性が働きやすい状態とは、「ライフステージの変化に捉われずに自分自身にあった仕事が選択できる環境」だといいます。サンロクIT女子プロジェクトでは、仕事の内容を確認し、自分で受けるかどうか選べるという特色があります。仕事を委託するアデコの担当者として、どのような仕事ならモチベーションが高く、喜んでもらえるかを悩んだそうです。「サンロクIT女子は年齢も経歴もバラバラであり、どのような仕事をお願いするかが非常に難しい状況でした。皆さんが果敢に挑戦いただけるような場を用意させていただくこと。それを考えるのが難しかったですが、そこがやりがいでもありました」その努力が実を結び、現在では女性たちがやりがいを感じ、自身のキャリアアップにつながる仕事を選べる環境が整っています。酒田市が掲げている『日本一女性が働きやすいまち』の実現に向けて、一歩ずつ着実に前進しているでしょう。❸行政の手を離れても「自律自走」で進めるように!サンロクIT女子の現状を見極めて仕事を委託する難しさについて語ってくれた八木さんですが、何よりも重視しているのはサンロクIT女子のこれからです。現在、サンロクIT女子プロジェクトは発展途上であり、案件の内容によってはOJT形式で進行する場合もあります。IT女子メンバーが未経験の分野にチャレンジするケースが多く、業務経験が豊富なパートナー企業にサポートしてもらいながら仕事にあたることも多くあります。「未経験の人でも失敗していいので、恐れずにどんどん挑戦してもらいたい」と八木さんは語ります。自分の得意不得意がわからない方も多くいますが、今の段階でさまざまな経験を積むことが重要です。実際、「サンロクIT女子の成長スピードは速く、1年前に比べてコミュニティとしての基盤がしっかりと形成されているように感じた」といいます。今後、サンロクIT女子一人ひとりが成長を続けて、経験を積み、大きなプロジェクトも成し遂げられるようになっていくことが求められます。さらに、「サンロクIT女子コミュニティの存在が、今後の酒田におけるビジネスの拡大や酒田市外とのハブの役割を果たすことも期待している」という八木さん。「将来的にはサンロクIT女子が自律自走できるように伴走し、支援していきたい」と語ってくれました。『日本一女性が働きやすいまち』を目指す宣言を行った酒田市。その希望の星であるサンロクIT女子プロジェクト。令和6年度前期では同プロジェクトに41名の参加があり、ますますサンロクIT女子の輪が広がっています。一人ひとりが経験を積んで成長し、可能性が広がれば挑戦する仕事の幅が今まで以上に広がるでしょう。サンロクIT女子の今後の更なる展開に期待が寄せられます。「サンロクIT女子の皆さんが自分の住む街の活性化に貢献し、県外と酒田市を繋ぐような存在になってくれることを願っています」アデコ株式会社アデコ株式会社では日本におけるさまざまな課題解決に向けて取り組むことを目的に、2024年に官公庁・自治体向けのBPO事業を専門に手掛けるパブリックソリューション事業本部を設立し、公共領域におけるサービス品質の向上や効率化の実現を支援している。現在、パブリックソリューション事業本部ソリューションセールス事業部ソーシャルイノベーション課が、地域の人財育成や経済活性化、デジタル化などの課題解決に取り組んでいる。URL: https://www.adeccogroup.jp/
2024年9月25日
vol4 「サンロク...

vol4 「サンロクIT女子」が新しい世界に飛び込み、活躍するまでの体験談を大公開!

結婚や出産といったライフイベントは、人生に大きな影響をもたらします。子供の入学や自身の出産を控えた6年前に家族でUターンをした齋藤さんは、感染症の拡大によりさらなる閉塞感を抱えるようになりました。その時の不安や孤独感を乗り越え、現在は元気に働く彼女の『世界が開けた瞬間』。家族の支えを力に変えて、開けた重たい扉の向こうに何が見えたのでしょうか。育児も家事も“母親の仕事”?「帰郷してからはずっと専業主婦でした。夫が単身赴任をしていた時期もあり、私が外に出る選択肢はありませんでした。」故郷に戻ったとはいえ長い間離れていたため、友人と呼べる人はごくわずか。仕事を持つ友人たちと専業主婦の自分とでは予定を合わせることも難しく、ほぼワンオペで3人の子供と過ごす日々は、社会から切り離されたような孤独感を感じさせました。性格は明るく活動的なタイプだという齋藤さん。気持ちを発散する場所も見つけられず、心が沈んでいくばかりの負のスパイラルに陥っていた頃の苦しい胸の内を吐き出します。「下の子が幼稚園に入園した頃から働きたいと思うようになりました。だけど、実際には無理だろうなって…。なんで私ばっかりこんなに縛り付けられているんだろうってモヤモヤが止まらなかった。」同じ敷地内に住む義理の両親は、家業の傍ら、不在がちな夫に代わって育児のサポートをしてくれる頼もしい存在です。しかしそれ以上甘えることは後ろめたく、外に出たいとは言い出せません。本音を押し込む妻の様子を察し、IT女子の育成講座を教えてくれたのはご主人でした。「…行こうかな」一瞬のためらいの後、受講を決意しました。開き始めた扉 新しい世界へ「夫に背中を押され、2023年6月開講のIT女子育成講座を受講しました。勉強することやグループワークを通して同年代の大人と話すことが本当に楽しかった。」育成講座を通じて知見を深め、同じ目的を共有する仲間との交流を持つことで、固く内向きに閉ざされていた心がほぐれていくような感覚を覚えたそうです。現在、齋藤さんは酒田市内企業のSNS運用代行を請け負っています。企業のSNSアカウントをプロモーションし、効果を上げることが目的であるため、顧客と打合せをして戦略を立てながら記事を書いたり、画像を作成して投稿するのだとか。過去にオンラインスクールで学んだウエブデザインの知識も強みとなり、育成講座受講後はランディングページや動画制作などデザインに関わる仕事を受注しました。「勉強したことを仕事として活かすことができたのがすごく嬉しくて。プロの方と一緒に仕事を進めることで流れを掴むことができ、よい経験を積むことができています。」インスタグラムの投稿スケジュールについて打合せをする齋藤さん家族と共に 私のウエルビーイング家族以外の人との関りを持ち、必要とされ役に立てたと実感したことで気持ちが満たされたのでしょうか。「お金を稼ぐことができたことにホッとした」といいます。「“お母さん”としてだけではない“私”の時間を持つことは、自分らしさを取り戻すようで、どんどん気持ちが明るくなりました。抱えていたモヤモヤはいつの間にか消え去り、酒田が自分の居場所だとようやく思えるようになりました。」3人の育児で培ったマルチタスク能力も現在の活躍の源となっています「実は最近家庭内で嬉しい変化が起きているんです!」と、先程とは打って変わって楽し気な表情の齋藤さん。なんでもご主人が家事をするようになったのだというのです。以前から家事の分担を訴えてきましたが、状況は一向に変わらず。溜まった不満をぶつけるように衝突を繰り返し、この先も変わることはないだろうとすっかり諦めていました。「お風呂掃除は息子の担当になってるんですよ。夫から、お母さんだけの仕事じゃないぞって言われたみたいで。続くか分からないけど(笑)」人を取り巻く環境は人格形成に大きな影響を与えるといわれています。家族の協力が本当にありがたい、と何度も感謝を口にする彼女から思いやりの溢れる優しい人柄がうかがえます。「いつもお母さんが家にいてご飯が出てくるのが当たり前ではなく、仕事を持つ親の背中を見せることで、人と人との関わり方や在り方についても一緒に考えていきたい」と、家族の未来へも期待が膨らみます。「IT女子に申し込んで、仕事をして、世界が一気に開けていった。行動を起こしたら環境を変えていけるんだっていうロールモデルになりたいですね!」思い切って飛び出してみた外の世界は、思いのほか輝いていました。自身の内面が満たされることで目に映る世界は景色を変えることでしょう。言い知れない不安を抱えていたあの頃の扉には鍵をかけて。勇気をもって開ける扉の先に、大きく成長した自分の姿が齋藤さんの目に映っています。
2024年8月28日
vol3 「サンロク...

vol3 「サンロクIT女子」が新しい世界に飛び込み、活躍するまでの体験談を大公開!

2023年の「サンロクIT女子育成プロジェクト」に参加し、育成講座を経て仕事を受注しているという星川さん。現在は酒田市内企業のコーポレートサイト制作を受注し、打ち合わせを重ねているのだそうです。仕事ではパソコンを使用していたものの「ITのことなんて全くわからなかった」と以前の自分をそう振り返ります。「私には絶対に無理」と思っていた彼女が一歩踏み出せた理由とは―――。未知の世界へ踏み出す Curiosity—好奇心「IT女子について知ったのは、たまたま目にした新聞の記事でした。2023年の3月に仕事を辞めたのですが、その直前の1月頃のことです。おもしろそうだなと思って募集が始まるのを待っていました。HPを何度も見ては、まだかまだかってやきもきしながら。痺れを切らしてサンロクに問い合わせたりして。」新聞の記事を見てから数カ月、ずっと気になっていたといいます。パソコンは得意でも嫌いでもない、と仕事で使う程度。ITについては言葉だけ、と言う彼女がそんなにも興味を惹かれた理由を聞いてみました。「仕事を辞めたらとりあえず1年くらいは今後のことをゆっくり考えたかったんです。ITは在宅で仕事をするイメージを持っていたので、自分のペースでやれたらいいなって。」結婚以来、仕事に子育てに、と時間に追われながら過ごし、そろそろワークライフバランスを見直したいと考えるタイミングでした。ソーイングとピアノが趣味という星川さん。落ち着いた口調で言葉を選びながら答える様子から、丁寧な暮らしに憧れがあったというのも頷けます。自宅ではリラックスした環境で仕事をすることができます育成講座をはじめとする対面の学習では、ITについての漠然とした知識を深めることができ、学生時代のようなワイワイとした雰囲気が楽しかったのだそう。共通の目的を持つ仲間意識や、課題や情報を共有する新たなコミュニティに触発され、まだ何もできていないのに別の世界に踏み出したような高揚感を感じました。勇気の決断 原動力は向上心 Courage—勇気「だけど、仕事を受けるのはハードルが高くて。募集があっても無理だよな、やってみたい気もするけど無理かもって何回か見送って。」そんな折、講演会の文字起こしの仕事が舞い込みました。事務での経験が活かせるかもしれないと試しに応募したところ見事採用。実際にやってみると予想以上に難しく、担当外の部分も確認しながら作業を進めたため時間もかかりましたが、なんとかやり遂げることができました。ここで得た自信がターニングポイントだったと後に回想します。その後はランディングページ(LP)のデザイン担当に立候補。この仕事では、LP制作未経験である複数人のIT女子と、制作のサポートをするプロが一緒に取り組みました。「デザイン経験はありませんでしたが、みんなと一緒だったらできそうだと思って挑戦しました。」この頃から、本格的に仕事を受けるためにグラフィックデザインツールを契約するなど自身のパソコン環境を整え始めました。良い仕事をするための必要経費と捉えて投資した分頑張ろうとモチベーションも一層上がるのだそうです。「制作実習の時も周りに全然ついていけなかった。やっとできたと思ったらもう先に進んでいて…。もうなりふり構わず、先生が近くに来たら離さない、すみません!教えてくださいって(笑)」以前の自分なら、仕方がないと諦めていただろうと、自分自身の変化に驚いている様子。もともと粘り強いタイプ、とはいえ、いったい何が彼女を駆り立てたのでしょうか。「試しに一歩踏み出してみたら次の一歩も踏み出せちゃった」と振り返る星川さん切り開く私の道 Confidence—自信「やっぱりおもしろかったんですよね。どれも難しいですけど夢中になってのめり込む時間はワクワクするような、自分がアップデートされていく新鮮な喜びがありました。」この一年で自分が大きく変わったことを実感する、という星川さん。プラスになる可能性があるのに諦めていたらもったいない、とチャレンジする度に経験が自信となって連鎖したことでそう感じるのかもしれません。「次の仕事はウェブサイト制作なんですよ!まさか私がね…」心底信じられないというように、自身の内面にも大きな変革をもたらした一年を思い起こします。1つ目の仕事に手を挙げる時が、一番勇気の必要な場面でした。やってみたらできた、という小さな自信の蓄積は、新たな可能性を探求する好奇心をくすぐり、未知の領域に踏み込む後押しとなりました。「絶対できるわけがないって思っていたことも、今はもしかしたらできるんじゃないかなっていう気がするんです。」「これまでの私」から抜け出し、ひたむきな努力によって選んだ道を正解にしていく。その芽生えた自信が力になり、新しい舞台への大きな一歩を踏み出していくことでしょう。
2024年6月20日
vol2 「サンロク...

vol2 「サンロクIT女子育成プロジェクト」の未来を支える現場からレポート

サンロクIT女子育成プロジェクトは発足から5年目に突入。当初から「IT技術を身につけ仕事の選択肢を広げる」をテーマに活動してきましたが、2023年度はアデコ(株)との協業によりさらに強化されました。人材育成に高い実績を持つ企業との連携による効果とは―――。プロジェクトを牽引する、コンシェルジュの佐藤香奈子さんとマネージャーの栗田奈美さんにお話を伺いました。未経験からの一歩をサポートサンロクIT女子(以下、IT女子)の特徴は大きく分けて3つあります。1つ目は、雇用ではなく業務委託形態をとっている点です。時間的な制約や自身の条件に合った仕事を受注できるため、ライフイベントに合わせたキャリアを築きたい方に適しています。2つ目は、ITスキルを学ぶ独自の育成講座を受講して仕事に繋げている点です。この育成講座は、基本的なITリテラシーを学びデジタル時代に必要な能力を身につけ、受注する仕事の幅を広げることが目的です。「育成後は、仕事にチャレンジできるよう後押ししたり、不安や悩みを聞いたり…。IT女子の皆さんの気持ちに寄り添う細かなケアを心掛けています」と話すのはマネージャーの栗田さん。プロジェクトの運営から仕事の斡旋、さらにはお悩み相談と、最もIT女子と密接に関わる存在です。3つ目は、キャリアカウンセリングです。「自分の気持ちを見える化する機会になりますよね」そう話すのは、産業カウンセラーの資格を持つ佐藤さん。対話を通じて個人の価値観や個性を引き出し、自分自身と向き合うことにより内面の整理をサポートする役割を担います。経営者としての視点からプロジェクト全体の構築や営業を担当する一方で、個々の可能性を広げる多様性を尊重した組織作りを目指しています。「人を巻き込んで“好き”を仕事にしていきたい」と語る佐藤香奈子さん長いトンネルの先 ようやく見えてきた進む未来「それまでは営業から納品、という流れをつくるのに必死で…。私たちだけではその先の展望を具体的にイメージすることが難しかった」と佐藤さんは振り返ります。そんな状況を変えるため、2023年よりアデコ(株)(以下、アデコ)との協業による「教育支援プログラム」を実施しました。このプログラムは、Webサイト制作の講習やOJTにより実践力の高いスキルを身につけることを目的としたものです。「より実務に沿った育成のプロセスを踏むことで、ぼんやりと描いていたIT女子の進む道が明確にイメージできるようになった」といいます。こうして、育成と実務の組み合わせによる盤石なサポート体制で経験が浅くても仕事に取り組みやすい環境が整備されました。教育体制の強化に伴いプロジェクトの注目度はさらに高まりをみせ、所属するIT女子の人数は100名を越えました。アデコからは難易度の異なる様々な案件の紹介と手厚いフォローが提供され、仕事を受注する女子は一気に増加。2023年度末には、プログラムを終えた約60名がSNS代行やWebサイト制作などの仕事を受注する結果となりました。稼働するIT女子が増える一方で、新たな課題も見つかりました。業務の一部を切り出して委託する形態をとっていたため、徐々に需要と供給のバランスが崩れてきたのです。また、企業が求める条件と所属する女子の稼働時間が合わないことも発足当初からの課題でした。不足を埋め合うチームの力この二つの課題を解決する方法として、現在推し進めているのが業務単位での仕事の受注です。業務プロセスの企画から施行までを一括して請け負うことで、これまでより受注する業務範囲が広がります。仕事を発注する企業にとっても、人材不足を補うアウトソーシングは今後ますます注目される戦略的選択肢となるでしょう。それぞれ異なるスキルを持つIT女子が業務ごとにチームを組むことで、経験の違いや時短のニーズを互いに補い合うことができます。教え合い、協力し合って物事を成し遂げることが自然と増えていきました。また、規模の大きな案件に臨む際の体制作りに不可欠なのがまとめ役の存在です。下半期には業務の進行管理と調整役となるプロジェクトマネージャーを育成するプログラムが同時進行しはじめました。知識としてのマネジメント学習とコーチングによる自己理解で内面の成長にも働きかけ、社会人基礎力の高い人材の育成を実践しています。「自信を持って仕事を得る、それが私たちの目指す未来です」と自身も元サンロクIT女子である現マネージャーの栗田奈美さんライフステージの変化などその時々でライフスタイルに合わせた働き方が選択できることは、人生の充実を図る上で重要な要素ではないでしょうか。「学ぶ意欲の高い方が多いと感じますね」IT女子の多くは30~40代の子育て世代。仕事とプライベートの両方が大切でどちらも優先したいという願いからか、主体性を持った方が多いと感じる、とふたりが口を揃えます。また、Uターンや県外出身者の割合も高く、だからこそ地域に潜む課題に気付き、地域全体の発展に貢献したいという声が上がることに驚くこともあるのだそう。将来的には培ったスキルを地域に還元する取り組みも視野に入れています。「今まで通りじゃだめなんですよね。これまでにない形を生み出そうとしているので。」「そこが難しいんですよ」と時折苦労をにじませながらも、楽しそうに語るおふたり。「躍動するIT女子のパワーにたくさんの刺激をもらうのだ」といいます。その目線の先には何が見えているのでしょうか。「来年度はさらにプロジェクトの推進を目指しています。そのための理念を定めるのも課題の一つ。」先行き不透明な時代に対応するしなやかな柔軟性を携え、常にアップデートを試みる姿勢からは熱意と覚悟がうかがえます。目指す場所が定まれば前に進む力はさらに加速することでしょう。多様なIT女子の力を掛け算によって最大限に引き出す体制を構築し、これからも酒田から新たな価値の創出を目指していきます。
2024年5月15日
vol1 酒田市と「...

vol1 酒田市と「サンロクIT女子育成プロジェクト」で女性の稼ぐ力を全面サポート!

はじめに生産年齢人口の減少が大きな地域課題となっている酒田市。2021年に人口10万人を切り、特に若年層の女性の流出が目立っています。その理由に、地方都市特有の課題の一つとして「仕事の選択肢が少ないこと」が挙げられます。この地に住み続けながら「やりがい」を持って働ける機会があったなら、時間や場所にとらわれず、自分のライフスタイルに合った働き方が実現できたなら、それがこの地の人材不足の解消や市内事業者の生産性向上に結びついたなら。そんな想いを形にするために、酒田市では、2018年に発足した酒田市産業振興まちづくりセンターサンロクの取り組みとして「サンロクIT女子育成プロジェクト」に着手します。酒田市の想いに共感したアデコ(株)は、「教育支援プログラム」を提供し、サンロクIT女子の育成を一緒に進めています。また、育成だけでなく実際の仕事も提供し、「稼ぐ」ことが可能になっているところがこのプロジェクトの特徴です。酒田市発「サンロクIT女子」で “日本一女性が働きやすいまち”を目指すインタビュー:酒田市 市長 矢口明子さん日本一を目指す宣言の背景には女性が活躍できる職場環境を整えることを推進していくための法律「女性活躍推進法」が2015年に成立しました。その翌年、酒田市副市長に矢口さん(現市長)が就任し、女性活躍推進事業に着手します。2017年、「日本一女性が働きやすいまち」を目指す宣言を行い、女性の活躍をオール酒田で目指していくことを示しました。2023年には市長に就任し、市内では女性の活躍を期待する機運がますます高まっています。「日本一女性が働きやすいまち」を目指す宣言をした背景の一つには、『女性が仕事を求め都会へと流出してしまう課題の解決策として、地方都市でも仕事や働き方の選択肢が広がれば、流出を抑制できるのでは』という想いがあったといいます。“酒田で働き、酒田で暮らす”を現実的に『女性は、ライフイベントにより仕事の種類が限られることが多々あり、その選択肢の少なさが女性の市外流出に拍車をかけている』と考えた矢口さんは、酒田に暮らしながら収入を得る方法を模索します。その結果、行き着いたのが「テレワーク」です。『ITスキルを身につけた女性なら、都会へ流出することなく酒田で暮らせる』と仮説を立て、サンロクIT女子育成プロジェクト(以下「プロジェクト」という。)を開始します。5年目の現在は、酒田に暮らしながら都会の仕事をオンラインで遂行する働き方を、サンロクIT女子(以下、「IT女子」という。)が実践しています。奇しくもコロナ禍でオンラインでの仕事が推奨されるようになり、ITを活用することで場所にとらわれずに仕事ができるということが立証され、プロジェクトの大きな推進力となりました。さらに矢口市長は、『IT女子のような働き方が定着することで、市外への流出を抑えるだけでなく、むしろ市内への流入を促す可能性がある』という仮説を立てます。『仕事の選択肢が増えることで、魅力的なまちとして酒田が注目され、この地で生きることを望む人が増える』と考えたのです。「酒田で働き、酒田で暮らす」ことが現実的な選択肢となるよう、更なる模索を続けています。「ここで暮らしていけます。生きていけます。やっていけます。酒田には必要なものが揃っています。IT女子もその一つです。」とプロジェクトに期待大の矢口市長みんなが輝くまちに『酒田に住まう全ての市民が、それぞれの場所で生きがいを見つけ、個性を活かして活躍できる街にしたい』と矢口市長はいいます。『人口が多い都会とは違い、酒田市の人口規模では一人ひとりの役割が大きく、活躍の場が多くあるのでは』と考えています。必要とされること、感謝されること、ありがとうという言葉を交わせること。人が暮らしていく上で、これら一つひとつが実はとても大きな意味を持っています。『自分の持っている優しさを出し合えるような、そんな社会になったらいいなとずっと思っています。』と述べる矢口市長の言葉は、酒田市が多様性を尊重し、個々の幸せな生き方を支援する姿勢を示していました。『人口10万人を切った今だからこそ実現可能なまちづくりを、酒田で叶えたい。』そう話す矢口市長の目には、優しさの中に強い光と意志が宿っています。そして、今日も奔走して市民の幸せを追求しています。サンロクセンター長が目指す「サンロクIT女子の未来」インタビュー:酒田市 副市長 安川智之さん圧倒的当事者意識を持ったサポート2018年4月に「酒田市産業振興まちづくりセンターサンロク」を立ち上げた安川さん(現副市長)。これまで市役所内の支援担当部署で、企業や経営者の方の相談に応じることは一定程度行っていましたが、より身近に、より親身にサポートをする必要性を感じ、サンロクの立ち上げに至りました。『経営者の立場に想いを馳せ、まず目の前の相手の状況を知ること。そこから全てが始まる』と考え、「圧倒的当事者意識を持って相手の立場に立ち、一緒に事業を進める」ことをモットーに、センター長としてサンロクを運営していきます。企業へのサポートは、当初「個社支援」からスタートしました。運営を進めていく中で、企業は共通の課題を抱えていることに気づきます。そこで、悩みを抱える経営者同士が課題を共有し合い、解決方法を模索していく「コミュニティ支援」に切り替えていきます。課題は企業の大小に関わらず必ず存在します。『経営者は孤独な思いを抱える方が多いです。孤立を防ぐために、地域でのリアルなコミュニティ形成を大切にしています。一人では解決できないことも、誰かと一緒になら解決できる可能性がある。コミュニティ支援によって事業者の輪が広がり、さらに酒田が発展していく』と安川さんは考えています。IT女子が稼ぐ企業への支援に取り組む一方で、安川さんは、センター長としてサンロクIT女子育成プロジェクト(以下「プロジェクト」という。)に取り組んでいきます。『現在目指していることの一つ目は、ビジネスモデルの確立です。プロジェクトの一番の目的は、IT女子が仕事として「稼ぐ」ことにあります。それぞれのIT女子には「稼ぎたい金額」があり、それを達成するためには仕事の絶対量が必要であることから、仕事量が多い首都圏からの受注獲得を目指しています。このプロジェクトの取り組みに共感していただき、ビジネスパートナーとしての関係性を築いていける企業の発掘が鍵である』と考え、日々首都圏へのアプローチを行っています。二つ目は、『IT女子として蓄積した力を、市内事業者に活かすことです。サンロクで経営者のサポートをしていく中で必要だと感じたのは、その企業の課題を見つける力、いわゆる「課題設定力」でした。その部分をIT女子が担えたら』といいます。市内事業者の歩調に合わせて、小さなことから一緒に解決していく、市内に住むIT女子だからこそ可能な「寄り添い型のコンサルタント」のような役割を想定しています。夢は大きく全国進出! 『また、このプロジェクトは移住を考える女性にも響く』と考えています。コロナ禍によりテレワークが浸透した今、IT女子のような働き方ができる酒田市は、住む場所を決める上での選択肢となり得るからです。仕事や働き方の選択肢を広げることで、酒田市が選ばれるまちとなれば、人口の流入が生まれ、やがて市内事業者への人材供給や生産性向上へと結びつくという、地域創生のビジネスモデルの一つになるかもしれません。『このプロジェクトを軌道に乗せ、全国からの業務受注と、IT女子の上場が夢です。』と話す安川さん。今後もIT女子から目が離せません。「夢はIT女子の上場です!」と熱く語る安川副市長おわりに地方都市特有の「仕事の選択肢が少ない」ことは、人口減少の問題とも結びつきが深く、多くの自治体で大きな課題となっています。かつての港町酒田のにぎわいを取り戻し、いきいきと働くことができるまちを目指すために、市ではサンロクIT女子育成プロジェクトを始め、さまざまな施策に取り組んでいます。「働きたい」が叶うまち、豊かに安心して暮らせるまちに向けて、行政運営を進めていきます。酒田市産業振興まちづくりセンターサンロクさまざまな課題をかかえる市内事業者に、ワンストップで支援をすることを目的に設立した任意団体で、「つなぐ」をテーマに360度全方位で支援を行うことが特徴です。併設のコワーキングスペースでは多様な属性の利用者が集い、いつも新しい“何か”が生まれています。山形県酒田市中町二丁目5番10号 酒田産業会館1階営業時間:9:00〜21:00休業日:祝日・振替休日・年末年始URL:https://sanroku.jp/
2024年3月28日
長久手市と「デジタル...

長久手市と「デジタルトランスフォーメーションの推進およびデジタル人材の育成」に関する協定を締結

目次若年層・子育て世代に人気のまち長久手市デジタルトランスフォーメーション推進計画Adeccoと長久手市によるデジタルトランスフォーメーションの推進およびデジタル人材の育成に関する連携若年層・子育て世代に人気のまち2005年の愛知万博「愛・地球博」の開催会場として知られている愛知県長久手市。戦国時代の「小牧・長久手の戦い」の地としても知られ、充実した商業施設と自然豊かな住宅地が共存したまちづくりが近年若年層・子育て世代からの人気を集めている地域です。住民の平均年齢は40.2歳と、全国1,718市町村で一番低い「最も住民が若い市」としても知られている同市ですが、人口も年々増加傾向にあり、それに伴い行政サービスの需要が高まり、「より住民目線で行き届いた行政サービスの企画・実施」に市民の注目が集まっています。長久手市デジタルトランスフォーメーション推進計画一方で、長久手市では今後も行政サービスとして医療、子育て支援や介護など、社会保障関連経費の増加が見込まれるだけでなく、公共施設をはじめとする建物の更新・改修などに多くの費用が必要となることから、同市における財政環境はこれまで以上に厳しくなることが予想されています。さらに、感染症の拡大防止策を図る非接触環境の整備と新たな生活様式への転換、ペーパーレス化やテレワークの実施などを始めとした働き方改革などを行政が先導し、推進していくことが直近の課題となっています。こうした課題を解決するため、同市では、2026年度末を目標年次とする「長久手市デジタルトランスフォーメーション推進計画(以下「DX推進計画」)」を策定し、デジタル活用による業務改善・業務変革及び市民サービスの効率化・円滑化を目指すこととなりました。吉田一平 長久手市長/中央そこで、「『人材躍動化』を通じて、社会を変える。」をビジョンとして掲げ、これまで多くの企業に対して従業員のデジタル化研修等を実施してきたAdeccoが、2022年10月、長久手市と「デジタルトランスフォーメーションの推進およびデジタル人材の育成に関する連携」に関する協定を締結し、長久手市の掲げるDX推進計画の後押しをしながら長久手市とともにこれらの課題解決に取り組んでいくことになりました。Adeccoと長久手市によるデジタルトランスフォーメーションの推進およびデジタル人材の育成に関する連携この連携を通して、長久手市における持続可能なまちづくりや人づくりの推進を図ります。「デジタルトランスフォーメーション推進」長久手市が掲げるDX推進計画が示す計画や方向性等を踏まえながら、Adeccoが有する研修教材を活用して長久手市職員のデジタルリテラシーの向上やデジタルトランスフォーメーション推進をしていきます。「人材育成」長久手市職員向けに、Adeccoが独自開発した、3Skills研修(※1)を実施していきます。※1:Adeccoでは、将来を予測することが困難な「VUCAの時代」と呼ばれる現代において、「内発的動機」「課題解決力2.0(カスタマーセントリシティ(顧客中心思考)、ロジカルシンキング(論理的思考)、デザインシンキング(デザイン思考)を課題解決のために駆使する能力)」「デジタルリテラシー」の3つのスキル(3Skills)を習得することは、業界や職種に関わらずすべての働く人々に必要なスキルであると定義しています。「情報発信」本協定に関わる情報を継続的に発信していきます。まずは、総合的なデジタル化の基礎を作り上げることが肝要と考え、①の中の「長久手市職員のデジタルリテラシーの向上」、②の「人材育成(特に「内発的動機」)」を特に注力していきます。Adeccoは、上記の連携および共創を通じて、デジタルを活用した市民の暮らしや市役所業務の変革をさらに進め、長久手市が目指している持続可能な街づくりの推進に貢献し、より良い未来をつくっていきたいと考えています。
2023年1月5日