2024年8月28日

vol4 「サンロクIT女子」が新しい世界に飛び込み、活躍するまでの体験談を大公開!

#04サンロクIT女子

結婚や出産といったライフイベントは、人生に大きな影響をもたらします。子供の入学や自身の出産を控えた6年前に家族でUターンをした齋藤さんは、感染症の拡大によりさらなる閉塞感を抱えるようになりました。

その時の不安や孤独感を乗り越え、現在は元気に働く彼女の『世界が開けた瞬間』。家族の支えを力に変えて、開けた重たい扉の向こうに何が見えたのでしょうか。

育児も家事も“母親の仕事”?

帰郷してからはずっと専業主婦でした。夫が単身赴任をしていた時期もあり、私が外に出る選択肢はありませんでした。

故郷に戻ったとはいえ長い間離れていたため、友人と呼べる人はごくわずか。仕事を持つ友人たちと専業主婦の自分とでは予定を合わせることも難しく、ほぼワンオペで3人の子供と過ごす日々は、社会から切り離されたような孤独感を感じさせました。

性格は明るく活動的なタイプだという齋藤さん。気持ちを発散する場所も見つけられず、心が沈んでいくばかりの負のスパイラルに陥っていた頃の苦しい胸の内を吐き出します。

下の子が幼稚園に入園した頃から働きたいと思うようになりました。だけど、実際には無理だろうなって…。なんで私ばっかりこんなに縛り付けられているんだろうってモヤモヤが止まらなかった。

同じ敷地内に住む義理の両親は、家業の傍ら、不在がちな夫に代わって育児のサポートをしてくれる頼もしい存在です。しかしそれ以上甘えることは後ろめたく、外に出たいとは言い出せません。本音を押し込む妻の様子を察し、IT女子の育成講座を教えてくれたのはご主人でした。

…行こうかな一瞬のためらいの後、受講を決意しました。

開き始めた扉 新しい世界へ

夫に背中を押され、2023年6月開講のIT女子育成講座を受講しました。勉強することやグループワークを通して同年代の大人と話すことが本当に楽しかった。

育成講座を通じて知見を深め、同じ目的を共有する仲間との交流を持つことで、固く内向きに閉ざされていた心がほぐれていくような感覚を覚えたそうです。

現在、齋藤さんは酒田市内企業のSNS運用代行を請け負っています。企業のSNSアカウントをプロモーションし、効果を上げることが目的であるため、顧客と打合せをして戦略を立てながら記事を書いたり、画像を作成して投稿するのだとか。

過去にオンラインスクールで学んだウエブデザインの知識も強みとなり、育成講座受講後はランディングページや動画制作などデザインに関わる仕事を受注しました。

勉強したことを仕事として活かすことができたのがすごく嬉しくて。プロの方と一緒に仕事を進めることで流れを掴むことができ、よい経験を積むことができています。

インスタグラムの投稿スケジュールについて打合せをする齋藤さん
インスタグラムの投稿スケジュールについて打合せをする齋藤さん

家族と共に 私のウエルビーイング

家族以外の人との関りを持ち、必要とされ役に立てたと実感したことで気持ちが満たされたのでしょうか。「お金を稼ぐことができたことにホッとした」といいます。

“お母さん”としてだけではない“私”の時間を持つことは、自分らしさを取り戻すようで、どんどん気持ちが明るくなりました。抱えていたモヤモヤはいつの間にか消え去り、酒田が自分の居場所だとようやく思えるようになりました。

3人の育児で培ったマルチタスク能力も現在の活躍の源となっています
3人の育児で培ったマルチタスク能力も現在の活躍の源となっています

実は最近家庭内で嬉しい変化が起きているんです!」と、先程とは打って変わって楽し気な表情の齋藤さん。なんでもご主人が家事をするようになったのだというのです。

以前から家事の分担を訴えてきましたが、状況は一向に変わらず。溜まった不満をぶつけるように衝突を繰り返し、この先も変わることはないだろうとすっかり諦めていました。

お風呂掃除は息子の担当になってるんですよ。夫から、お母さんだけの仕事じゃないぞって言われたみたいで。続くか分からないけど(笑)

人を取り巻く環境は人格形成に大きな影響を与えるといわれています。家族の協力が本当にありがたい、と何度も感謝を口にする彼女から思いやりの溢れる優しい人柄がうかがえます。

いつもお母さんが家にいてご飯が出てくるのが当たり前ではなく、仕事を持つ親の背中を見せることで、人と人との関わり方や在り方についても一緒に考えていきたい」と、家族の未来へも期待が膨らみます。

IT女子に申し込んで、仕事をして、世界が一気に開けていった。行動を起こしたら環境を変えていけるんだっていうロールモデルになりたいですね!

思い切って飛び出してみた外の世界は、思いのほか輝いていました。自身の内面が満たされることで目に映る世界は景色を変えることでしょう。

言い知れない不安を抱えていたあの頃の扉には鍵をかけて。勇気をもって開ける扉の先に、大きく成長した自分の姿が齋藤さんの目に映っています。